プロセスの改善を試みる場合、最初のステップは各ステップの可視化のみです。 そこでビジネスプロセスマッピングの出番です。
私の経験では、プロセスマップは特に複雑な職能横断型プロジェクトにおいて混乱を招きます。 また、非効率な部分の発見、利害関係者の調整、自動化の準備など、ビジネスプロセス改善のための強力なツールとしても機能します。
この記事では、プロセスマッピングの基礎、概要、使用方法、使用するフォーマット、Wrikeなどのソフトウェアを使用して文書の内容を実行に移す方法について説明します。
重要なポイント
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プロセスマッピングは、作業の進め方を理解し、改善するための基盤です。
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チームが複雑なワークフローを可視化し、役割を定義し、遅延や混乱の発生場所を特定するのに役立ちます。
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フローチャート、スイムレーン図、SIPOC(サプライヤー、インプット、プロセス、アウトプット、カスタマー)図は、さまざまな目標や対象者に対応したマッピング形式のほんの一部です。
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プロセスマップは、共同で作成し、定期的に見直し、時間をかけて改良すれば、最も強力になります。
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KlaxoonやWrikeのようなプラットフォームでは、静的な図であるプロセスマップを、実際の実行と改善をサポートするライブシステムに取り込むことができます。
目次:
プロセスマッピングとは?
プロセスマッピングは、各ステップ、決定ポイント、関係者を含めて、ワークフローの概要を視覚的に示す方法です。
これはワークフロー図を作成する前の重要なステップで、この図には、ビジネスプロセスを構成するすべての要素を一覧で表示し、それらを順番に並べて、関係を示し、依存関係の詳細を示します(この段階では付箋が有用)。
明確なプロセスマップを作成すると、特にワークフローに複数の共同作業者やツールが関与する場合に、組織がボトルネックを特定し、チーム連携を強化し、プロセスを合理化するのに役立ちます。
プロセスマップの作成方法
私の経験では、プロセスマッピングは、それ自体が協調的、視覚的、かつ反復的であるときに最も効果的です。 シンプルなワークフローを文書化する場合でも、複雑な職能横断型ビジネスプロセスを細分化する場合でも、目標はプロセス全体の明確化です。
ここで、私が通常、結果を生むプロセスマップを作成する際にどのようにチームを指導しているかをご説明します。
1. 目的と境界を定義する
まず、そのプロセスで達成すべき目標を明確にします。これにより、マップの焦点が絞られ、関連性が保たれます。 次に、無限に両方向をマッピングするようなことにならないように、プロセスの開始点と終了点を大まかに決めます。 私はよく、この段階でSIPOCを使用してスコープを明確にしています。
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サプライヤー – 誰がインプットを提供するのか?
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インプット – どのようなリソースや材料が必要か?
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プロセス – 主なステップはどのようなものか?
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アウトプット – 何が納入または生産されるのか?
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カスタマー – 成果または利益を受けるのは誰か?
このように早い段階でフレーミングを行っておくと、複雑さが緩和され、全員の認識を一致させることができます。
2. プロセスをステップと役割に分解する
次に、ワークフロー内のすべての重要なプロセス要素(タスク、決定ポイント、引き継ぎなど)をリストアップします。 各ステップについて、主要オーナーを特定し、開始に必要なインプットと、完了を示すアウトプットを決定します。 これは特に、役割と責任が曖昧になりがちな職能横断型の作業では重要です。
通常はこの段階で、プロセスに最も近い人員とディスカバリーセッションを行います。 これは、書面上で作業の展開を案じるだけではなく、実際の作業展開を把握できる最良の方法です。
3. 適切なプロセスマップ形式を選択する
プロセスが異なれば、求められるビジュアルも異なります。 大まかなフローチャートは全体像を示すのに適していますが、非効率性を特定するには詳細なマップの方が適しています。 プロセスが複数のチームに関与している場合、責任と引き継ぎの可視化にはスイムレーン図が最適です。
4. シンボルを使用して視覚的にマッピングする
次に、タスク用の長方形や意思決定用のひし形など標準的なプロセスマッピングシンボルを使用して、プロセスフロー図を作成します(プロセスマッピングシンボルの詳細については、以下を参照してください)。
そのために、私は通常、まず認識をすばやく調整するためにKlaxoonの基本フローチャートに取り掛かり、次にその構造をWrikeに取り込んで実際に稼働しているシステムの一部にします。
5. 検証と改良を行う
関係者とともに下書きを見直して、現実が反映されているか確認します。 ほとんどの場合、ステップの欠落、作業の重複、アクションの陳腐化などが見つかります。 これは進化するシステムとして扱ってください。時間と共に適応するプロセスマップが最も有用です。
6. 実施して影響を観察する
プロセスマップを改良したら、次のステップはそれを実行に移すことです。 マッピングされたワークフローを日常業務に取り入れましょう。Wrikeのようなプラットフォームを使用するのが理想的です。各ステップは、オーナーシップとタイムラインが明確になっているライブタスクになります。 多くの場合、私はこの段階で、成果物を明確にして実行しやすくするために、マップを作業分解構成図に変換します。
チームがマッピングされたプロセスに取りかかったら、そのプロセスが実際にどのように機能するかを観察します。 予期しない遅延が発生していないでしょうか? 引き継ぎはスムーズでしょうか? このフェーズで、マップの効果を検証し、さらなる改善の機会を明らかにします。
プロセスマップの種類


プロセスを可視化する方法は、その複雑さ、目的、対象者によって異なります。 マップには大まかで戦略的なものもあれば、自動化やコンプライアンス監査に対応できるほど詳細なものもあります。
フローチャート
こんな場合に最適:広範な理解や簡単な参照に役立てるために、プロセス内のステップの全体的な順序を可視化する
フローチャートは、非常に柔軟で広く使用されているプロセスマップの1つです。 各ステップは図形(通常は四角形)で示され、順番に並んだものが矢印でつながっています。 私は、ワークフローを迅速に文書化する必要がある場合や、詳細を知らない関係者にプロセスを説明する必要がある場合に、フローチャートを使用しています。
簡略型プロセスマップ
こんな場合に最適:詳しい説明に入る前に、経営陣に全体像を伝える場合や、高レベルフェーズで整合を図る
簡略型プロセスマップは、ワークフローの詳細ではなく主要なマイルストーンを示すものです。 これは、経営幹部向けのブリーフィングや利害関係者向けのプレゼンテーションなど、「どのように」ではなく「何」や「いつ」を伝えたいシナリオに最適です。
詳細型プロセスマップ
こんな場合に最適:分析、最適化、またはコンプライアンスを目的として、ワークフローの複雑な要素をくまなく把握する
詳細型プロセスマップは、すべてのタスク、サブタスク、決定ポイント、依存関係を分解し、作業展開の複雑な要素を完璧にとらえます。 これは特に、プロセス監査、規制コンプライアンス、自動化の準備に有用です。
スイムレーン図
こんな場合に最適:複数のチームや部署が関与するワークフローで役割と責任を明確化する
スイムレーン図は、各ステップの内容だけでなく責任者も示されるように構成されています。 水平レーンや垂直レーンでは、役割別、チーム別、または部門別にアクションが分かれているため、オーナーシップを簡単に追跡できます。 この形式は、職能横断型フローチャートで私がよく使う形式です。
バリューストリームマップ
こんな場合に最適:顧客価値の提供に重点を置いたプロセスで、無駄や遅延を特定する
バリューストリームマップは、価値が最終顧客にどのように流れるかに焦点を当てたもので、その結果に貢献する活動や遅延を引き起こす活動などがすべて強調表示されます。
SIPOC図
こんな場合に最適:初期段階の計画や品質管理イニシアティブにおいてプロセスを組み立てる
SIPOCは、Suppliers(サプライヤー)、Inputs(インプット)、Process(プロセス)、Outputs(アウトプット)、Customers(カスタマー)の略です。 これは簡略なマッピング手法で、各タスクや詳細には触れず、システムを通じた作業の進め方を示します。 SIPOC図では、段階的なアクションに焦点を当てるのではなく、ビジネスプロセスの最初から最後までを定義して形成する重要な要素が強調されます。
プロセスマッピングのメリット
プロセスマッピングの目的は、チームが賢く作業するために必要な可視性と構造を提供することです。
メリット | 具体的な有用性 |
効率性の向上 | 冗長なステップ、遅延、ボトルネックを特定してプロセス全体を合理化できる |
チームにおける認識の整合 | チームメンバーが各自の役割を理解し、各自の作業が職能を超えてどのように結びいているかを把握できる |
利害関係者間のコミュニケーションの強化 | 共通の視覚的表現を作成して、複雑なプロセスを簡素化してコミュニケーションを改善できる |
生産における一貫性の向上 | トレーニング、コンプライアンス、および品質管理に関する反復可能なワークフローを標準化できる |
自動化のための基盤 | Wrikeなどのソフトウェアを使用して反復作業を自動化する機会をピンポイントで特定できる |
オンボーディングの迅速化 | 新規採用者に、作業流れ、関係者、何から始めればよいかを明確に説明できる |
リスクの削減 | エラーや遅延が最も発生しやすいギャップ、決定ポイント、引き継ぎを特定できる |
データ主導型の改善 | マップを使うと、ワークフロー分析の促進と経時的なパフォーマンス追跡が容易になり、ワークフロー全体を継続的に改善できる |
プロセスマッピングのシンボル
プロセスマッピングツールの標準化された図形を使用することで、図が明確で一貫性があり、他者が理解しやすいものに仕上がります。特にチーム間で共有する場合や、より複雑なシステムを文書化する場合に最適です。


アイコンディスクリプタ | 名称 | 表現内容 |
楕円 | 開始/終了(ターミネーター) | プロセスの開始または終了をマークする。 各マップがこの形で始まってこの形で終わる。 |
四角形 | プロセスステップ/タスク | プロセス内で実行される1つのアクティビティ、タスク、またはアクション。 |
矢印(矢印付きの線) | フロー/コネクター | あるステップから次のステップへの移動方向を示す。 |
菱形 | 決定 | 選択が行われるポイント(通常は「はい」または「いいえ」)で、さまざまな経路につながる。 |
D字形(半円形の長方形) | 遅延/待機 | 次のアクションまでの停止/待機期間を表す。 |
波形底辺の長方形 | ドキュメント | プロセスで使用または作成されたドキュメントやファイル。 |
積み重ねられた波形底辺の長方形 | 複数のドキュメント | この段階で複数のドキュメントが処理される。 |
平行四辺形 | データ入力/出力 | プロセスに出入りするデータまたは情報。 |
傾斜上辺の長方形 | 手動入力 | ユーザーが手動でデータを入力する必要があるステップ(フォームなど)。 |
垂直線2本入り長方形 | サブプロセス/事前定義済みプロセス | 別の場所で定義されているか、別のマップに詳細が記載されている参照プロセス。 |
円形またはラベル付きコネクター | オフページコネクター | プロセスが他の場所(別のページなど)で継続することを示す。 |
円形矢印/ループ記号 | ループリミット | 設定された反復回数に達するまで、条件が満たされるまで実行される反復シーケンスを示す。 |
プロセスマッピングの例
アクティビティプロセスマップに記載されているプロセスを含め、実際のワークフロー図の例でプロセスマッピングがどのように実際に機能するかを確認してみましょう。
マーケティングキャンペーン計画(シンプルなプロセスフローチャートの例)
このシンプルなフローチャートは、目標設定からパフォーマンス追跡までの6つのステップで構成された理論的なキャンペーン計画ワークフローをまとめたものです。 基本的なフローチャートシンボルを使用して、プロセスが開始点から終了点まで一直線に流れており、オプションのレビューループが1つあることを示しています。これにより内部チームも外部協力者も流れを簡単に理解できます。


請求書処理と支払い(スイムレーン図の例)
このスイムレーン図は、他部門に渡って、従業員、マネージャー、買掛金担当、財務担当という4つの役割が関与する仮定上の請求書ワークフローを示しています。
これには2つの重要な承認ポイントが含まれています。1つはマネージャーからの承認ポイントで、もう1つは支払い閾値に基づく承認ポイントです。 責任はレーンで明確に分けられているため、職能横断型の承認チェーンにおける遅延や混乱を防ぐことができます。


品質管理プロセス(SIPOC図の例)
このSIPOC図は、架空の品質管理プロセスを大まかにまとめたもので、サプライヤー、インプット、プロセス自体、アウトプット、顧客の間の関係を示しています。
材料の受け入れから検査、納品に至るまで、品質がどのように管理されているかを理解するのに役立ちます。 この形式は、品質保証の監査やプロセス改善の取り組みの出発点としてよく使用されます。


ビジネスプロセスマッピングの手法
プロセスを定義し、適切なインプットを収集したら、次に、最適なマッピング方法を選択します。 使用する手法は、関連する対象者、目的、複雑レベルが反映されているものにしましょう。
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トップダウンマッピング:まずはプロセスのフェーズを大まかにまとめてから、詳細な部分まで掘り下げます。 これは、実行内容を精緻化する前に、全体像について利害関係者の認識を統一する必要がある場合に役立ちます。
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詳細タスクマッピング:プロセスを個々のステップ、決定、インプット、アウトプットに分解します。 私は、コンプライアンス、監査、またはワークフロー自動化計画のワークフローを文書化するときにこれを使います。
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役割ベースマッピング:責任者別またはチーム別にプロセスステップを整理します。 スイムレーン図として視覚化されることが多く、引き継ぎや説明責任のギャップがわかりやすくなります。
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SIPOCマッピング:「サプライヤー」、「インプット」、「プロセス」、「アウトプット」、「顧客」を特定することで、より広範なプロセス構造に焦点を当てます。 これは、上記の例のような品質管理や初期段階のプロセス設計に最適です。
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バリューストリームマッピング:顧客に対する価値の流れと時間の損失を効果的に追跡します。 私は、製品チームや運用チームと連携するときに、遅延や重要でないステップを減らすためにこの手法を使用します。
プロセスステップから実行までの進め方
Klaxoonのようなプロセスマッピングソフトウェアで各ステップをマッピングしたら、次は、その構造を現実的で継続的な勢いに変えるという課題に取り掛かりましょう。 ここでWrikeの出番です。
プロセスマッピングテンプレートの視覚効果を利用してチームの認識を統一したら、Wrikeのワークフロー管理ソフトウェアを使用して、オーナーシップの指名、依存関係の接続、実行のためにマッピングしたステップの自動化を行います。 すべてのタスク、承認、引き継ぎがライブシステムの一部となり、複数の利害関係者がこれに頼り、改善し、成長に合わせて拡張できます。
よくある質問
プロセスを特定し、その範囲を定義し、各プロセスステップをリストアップし、標準化されたマッピング形式を使用して可視化します。
プロセスマップを構築するには、ステップを順番に並べて矢印でつなぎ、標準記号を使用してタスク、意思決定、結果を表します。
3つの主な構成要素とは、タスク(またはステップ)、決定ポイント、および、プロセスの流れを示すコネクターです。

